管理契約締結
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丁寧な説明で管理の質の違いを実感してもらい、リスクも回避
「管理の質の違い」を実感してもらうことは管理獲得のポイントです。管理委託メニューを提示して詳細に説明しながら、オーナーの悩みをつかんでいきます。管理委託の重要事項説明は1時間半かけるくらいですが、こうすることで「同じ管理委託料でここまでやってくれるのか」と感心されます。
重要事項はリスク回避のためにも、放置自転車や粗大ゴミの撤去料、スズメバチの巣撤去料など、たとえ相手が寝ていても省かず説明します。オーナーが使うわけではない入居者向けサービスも、理解していれば費用発生時にいらぬ誤解は生まれない。また巡回時に柔軟に本来有料なものをサービス対応しておくと、修繕時に必要金額を気持ちよく支払ってもらえる効果があります。また管理契約を解約する時の対応も、契約時に説明して様々なリスクを回避します。
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サブリース契約はメリット・デメリットについて事前説明を徹底
当社の場合、管理契約する物件は全て積水化学工業が請負った新築物件のサブリース契約です。契約の際、一番注意するのはサブリースのメリット・デメリットについての説明で、注意点はすべて事前に伝えるようにしています。管理契約締結に関わる業務フローは以下。
1. 新築物件の管理会社営業担当は、トレンドや賃料相場を東京カンテイなどで調べて家賃査定。家賃はパワーポイントのテンプレートに基づいて計算したうえで、物件ごとに調整
2. 家賃や諸条件を決めて、管理会社営業担当から建築会社新築担当に提出
3. オーナーに家賃、借り上げ料率、契約内容、融資条件・銀行、利回りなどを確認
4. 条件が合意後、重要事項説明
5. 管理受託契約書(日管協のもの=セキスイハイム不動産のもの)で管理契約締結
6. WEB登録して物件情報を掲載するなどで賃貸募集開始
7. 管理業務実施、および2年ごとに賃料交渉
◆あやふやな回答は厳禁、不明点は必ず持ち帰って確認してから対応
オーナーとの対応で気を付けているのは、信頼してもらえる対応をすることです。例えば新人がオーナーからの質問に明確に返答できない場合、その場で自分の考えで回答せず会社に持ち帰るよう徹底。回答が難しい相談が来るケースは契約段階が進んでいるか契約後が多く、急いで返答しなくてもメーカー変更等のリスクは少ない。逆に契約書と異なることを多少時間はかかっても、会社としてしっかりした回答をできる方が良いからです。
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賃料と共益費は別立てにしてメニューを決定
最近、賃料と共益費を合算して提案される会社が多い傾向にありますが、弊社はオーナーに判りやすいように賃料と共益費は別立てにして表記し提案します。弊社の管理委託契約書には維持管理仕様メニューが全て入っており、そこから必要な維持管理を抜粋し管理仕様を作り上げます。アパートもマンションも同じ契約フォーマットになっており、基本的にはこちらから提案しますが「清掃は週1回?月1回??」「清掃はオーナー?弊社??」など相談しながら個別に決めていきます。
◆管理契約時はオーナーが疑問に思うことを再度重点的に
管理契約を締結する際は全文読み合せを確認しますが、全文読むケースは多くはないと思います。提案の段階から説明を繰返し、疑問点を取り除くようにしています。重要な部分に絞って再度説明し確認することが多いと思います。オーナーが疑問に思うところは「賃料」「免責」「改定条項」などです。全条項を読み合せすると高齢のオーナーは寝てしまう人も少なくありませんね(笑)。
◆管理契約引継ぎ時は家賃保証に注意
管理会社変更契約に伴い入居者の契約を引き継ぐ場合、管理会社系及びファイナンス系の家賃保証会社の多くは家賃保証契約も同時に切れます。そのときはオーナーに負担してもらい新たに保証をつけないと、連帯保証人がいない状態で入居者を引き継ぐことになります。今のところトラブルは多くありませんが、防御策は現状ないので注意が必要だと思います。
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わかりやすい説明で契約前の理解を徹底し、後々のトラブル防止
管理システムや管理メニューは簡潔な説明書面にまとめて、管理料5%に含まれる内容などを説明しています。また契約時には、原状回復時や入居中の修繕金の負担について、必ず事前に、過去に修繕負担についてもめた具体的事例を含めてお話します。後々のトラブルを避けるため、原状回復のガイドラインについての説明は徹底し、賛同されないようなオーナーや空室対策に理解を示してくれないオーナーとは契約しません。
管理料及び管理メニューについて
- どこまで管理業と定義するか?管理料5%はどこまで一般的か?現状各社によって異なる管理料はオーストラリア12%など世界的にも大きく異なる(明和住販流通センター)
- 管理システムや管理メニューを簡潔な説明書面にまとめて、管理料5%に含まれる内容を説明(不動産プラザ)
- 管理メニューの説明しながら、オーナーの悩みをつかんで管理の質をアピール。管理メニューはワンパッケージが原則でイレギュラーは稟議を上げて対応を検討(三好不動産)
「いつ?」「どれくらい下がる?」家賃下落リスクの説明方法
- 「一般的には、5年後ぐらいから徐々に下がってくることがある」などと答え、「大丈夫」「下がりません」とは絶対言わない。「何年後から」「下がる金額」なども個別事情で約束できるものではないので、「入退去の回数によっても変わる」などと説明。経営計画書は、段階的に賃料が下がるパターンで提出(セキスイハイム不動産)
- 賃料は下がり、さらに空室率が5~10%になる見込みで計算(三好不動産)
- 経営計画書には良いケース、悪いケースなど複数ケースを掲載(タイガーアンドアソシエイツ)
- 管理業務には2つの方式がある
- 管理受託方式:貸主から委託を受けて行う賃貸住宅の管理事務。貸主との間で管理受託契約を締結し、契約に基づき家賃・敷金などの受領、契約更新、解約などに係る事務、建物・設備の点検や維持管理、貸主からの問い合わせや管理報告、クレーム対応などを行う。更に賃貸借契約の締結のみの委託と管理業務の一部も委託する2タイプがある。後者には標準賃貸借内裏及び管理委託契約書(一括委託型)を使用
- サブリース方式:住宅を転貸するもの(サブリース業者)が行う住宅の管理。管理業者が貸主(オーナー)から賃貸不動産を借り受け、自らが転貸人となって第三者に転貸。この場合、貸主と転借人の間には契約関係は発生せず、管理業者が貸主と転借人それぞれに契約当事者となり責任を負う。サブリース住宅原賃貸借標準契約書を使って契約。この方式のメリットは「安定収入」「融資が受けやすい」「管理やトラブル対応はお任せ」。デメリットは「家賃変動リスク」「修繕費などの出費など「契約終了時の入居者対応」など。 →サブリースのページへ
- 管理業務は物件ごと、オーナーごとに状況が異なり、それによって契約内容、契約金額、諸条件なども異なる。個別状況を把握し、適切な方式や内容を提案し、書類作成時や契約時も細心の注意を
- 報酬額を明示し、管理料の中で対応できる範囲を誤認がないようあらかじめ説明しておく
- 管理業務及び修繕負担区分表などを使用して説明するとわかりやすい
- 自社の管理のメリットをきちんと把握し、説明することが他社との差別化を図りオーナーの信頼を得るうえで重要。重要。例えばクレームに対してここまで対応するなどリスト化するなど整理して資料化するとよい
- 契約時は万が一に備え、「賃貸住宅所有者の認知症に備えた管理業務委任状書式」にて対応しておくと安心。
- なお、契約時の重要事項説明と契約書面の交付は賃貸不動産経営管理士等が行う(経過措置平成30年6月30日まで)
(注)
国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度」への登録業者に限る。