空室の対策を提案しても納得しない家主に解約を通知したところ空室分の損害を賠償するよう要求がありました
質問者:
Mar.29.3
Q.
古い物件を多数所有する家主がいます。家賃設定が相場より高く、設備の交換・追加や家賃減額等を提案してもなかなか納得してもらえないため、業務遂行に多大な労力が掛かります。そこで管理委託契約を当社から解約したところ、その家主の依頼を受けた弁護士から内容証明郵便が届きました。空室があるのは管理会社の善管注意義務違反だからこれまでの空室の家賃を全額支払えとの内容で、膨大な額になります。
管理委託契約書には、空室の家賃を保証する(または立て替える)ような条項はありませんが、「当社は管理物件の入居を積極的に斡旋します」と記載しています。当社の顧問弁護士に相談したところ「善管注意義務には当たらないが、積極的な入居斡旋を謳っていた以上、借主募集を掲載した情報誌やインターネットのログ、家主との交渉の記録等をすべて揃えて、空室を埋めるために常に努力し続けたと証明したい。それが難しければ、いくらか支払わなければならないかもしれない」とのことでした。
インターネットのログなどをすべて揃えるのは事実上不可能に近く、理不尽な話だと感じます。
A.
空室が生じても管理会社は、空室保証をしていない限り、原則として損害賠償義務を負いません。
「管理物件の入居を積極的に斡旋します」というのは何をどの程度行うのか不明瞭で、良い条文とは思えません。当協会のモデル管理委託契約書は「家主が管理会社に借主募集業務を委託すること」と「宅建業者に借主募集を依頼する権限を家主が管理会社に与えること」を定めたうえで、「退去が確実なときは速やかに借主の募集を行う」「家主に、入居促進に必要な助言をする」の2つを管理会社に義務づけています。参考にしてください。
ところで、こうしたトラブルが発生するのは、業務を巡ってこれまで家主ともめ続けてきた結果だと思われます。積極的な姿勢をアピールするのでしたら、毎月の管理業務報告書で、募集状況等も報告することが大事だと思います。