契約更新
わが社の工夫、事例集
- あらかじめオーナーの更新承諾をとっておき、入居者の意思確認のみで事務処理を行う
- 更新時、更新事務手数料をもらう(1万円、半月分…など)
契約更新は、入居者(借主)の状況把握、及びオーナーの意思確認を改めて行うことで、健全な契約を保つためのもの。契約の更新に際して徴収する一時金である更新料については特に地域差が大きく個別性が高いため、下記は一例。周辺事例や慣習などを把握したうえで業務を進めよう。
- 更新意思の確認
- 更新通知書作成、送付、期限管理
- 未手続者への連絡を徹底し、期限内に全て手続きを完了する
- 契約満了日を過ぎて手続きが完了していない場合、借主保護のため、法律で家賃など基本的な条件は以前と同じで期間の定めの無い契約が更新されたことを保証する「法定更新」となる
- 新賃貸条件の交渉
- オーナー/入居者(借主)と改訂条件等折衝
- 同一建物内や近隣賃貸物件の賃料状況や募集賃料に留意して対応
- 更新業務の締結
- 更新書面の作成/交付/締結にまつわる諸業務を期日通り行う
- 更新料の収納
- 契約の更新に際して徴収する一時金である更新料を請求し、入金がない場合は督促
- 更新料は法規定がなく、個別の契約によるもの。有無や額は地域の慣習により差がある
- 更新にまつわる保険等業務
更新時に契約書で確認すべきこと
前回契約時から時間が経過しているため、周辺環境や法律も変化している。契約書は以下に注意して定期的に確認し、最新化しよう。
- 連帯保証人の意思確認と必要であれば極限額記入(保証人が法人でない場合、極度額の範囲でしか債務を負わないことが規定され、かつ書面により極度額を定めないと保証契約自体が無効となる民法改正の予定あり)
- 法律の変更に対応
- 暴力団対策コメントを入れる
- 管理会社や連絡先の変更はないか
更新時の法律知識
1.法定更新時の解約と更新料は?
2.民法改正になった連帯保証人極度額の対応は?
3.契約事務手数料は妥当?
更新時に知っておきたい法律知識について、
ことぶき法律事務所の塚本智康弁護士に伺った内容が以下。法定更新は入居者保護を目的としたものゆえ、解約のハードルが上がり更新料も取れなくなるので期限内にきちんと更新手続きをすることが重要。民法改正となった極度額や地域や更新時の事務手数料の扱いについても頭に入れて更新手続きを。
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法定更新に至った場合の法律関係
●解約方法
法定更新となった場合、期間の定めのない契約となります(借地借家法26条1項)。
期間の定めのない賃貸借契約を解約するためには、
・賃貸人からの解約の場合は6ケ月前に(借地借家法27条1項)
・賃借人からの解約の場合は3ケ月前に(民法617条1項2号)
解約申入れをする必要があります。
なお、賃貸人からの解約には、別途「正当事由」が必要です(借地借家法28条)
●更新料
法定更新となった場合、期間の定めのない契約となるため(借地借家法26条1項)、法定更新以降、更新を観念し得ないことになり、更新料は発生しません。
なお、法定更新時に更新料が発生するか否かは、賃貸借契約書の定めによります。
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民法改正の個人の連帯保証人の極度額の設定について、更新時の対応
●保証人は、更新後の賃貸借契約から生ずる賃借人の債務についても保証債務を負うとされていること(最高裁平成9年11月13日判決)
●民法の一部を改正する法律案の附則21条1項が「施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例による。」としていることからすれば、民法改正前に成立している保証契約については、更新時に極度額の設定は不要ではないかと考えています。
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契約事務手数料の妥当性
判例がないので、確定的なことはいえませんが、入居者から契約事務手数料を取得するのであれば、入居者と管理会社との間で、管理会社が更新代行業務を行い、入居者がその対価として契約事務手数料を支払う旨の契約書を作成することが最低限必要です。