クレーム対応
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エアコンの故障はシーズン前に先手をうつ
クレームの中でも、ある程度予測可能なものもあります。例えば、エアコンの故障。たいてい暑くなってから、入居者が初めてエアコンを稼働してみて故障が発覚します。故障の連絡ですぐに対応しようにも、夏のピーク時では工事自体が混んでいるため、暑い最中に入居者を待たせることになってしまいます。
そこで当社では、先回りをして梅雨前の5月に「エアコンチェックのお願い」を一斉に出し、エアコンが稼働するか入居者に確認をお願いします。もし故障が発覚しても、ピークを外すことで修理もスムーズ。クレームも3割減りました。
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ありがちトラブルは入居者にも共有
「エアコン」「水漏れ」「ゴミ」「無断駐車」「騒音」など、実際に過去にトラブルになったことやありがちなクレームについては、あらかじめマニュアルを作成し対応方法を決めています。従業員が活用するのはもちろんですが、入居者にも重要事項説明の時にお渡しして読んでおいてもらいます。トラブルになりそうなことは先に伝えておくことで、例えば「修理を依頼したい」場合の修理の受付時間も明記してあるので、後から「聞いていない」「緊急事態なのに」という二次クレームの予防にもなります。
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ピンチをチャンスに。クレーム大歓迎の精神
連日何件ものクレームに対応する業務は、担当部署全体の雰囲気も暗くなり、離職率も高くなりがち。そこで当社では、素晴らしいクレーム対応事例をピックアップし、営業部署同様に社内表彰しています。実際にクレームから、次の大きな改修工事受託につながることも多々あります。
とにかく素早い初期対応をするため、社内体制はクレーム対応最優先。クレーム案件担当者に案内の予定が入っていても、急遽代理をたててクレーム対応を優先します。オーナーに連絡が取りにくい夜間は、3万円までオーナー承諾不要、などとあらかじめ管理受託契約書で取り決め、ストレスなく素早い対応ができるよう工夫。さらに管理物件については、クレーム受付、完了確認、工事の費用など全ての情報をWEBで一元管理。これによって進捗管理はもちろん、結果の分析を行い先手を打つ提案等にも活かせます。ピンチはチャンス、クレーム対歓迎の精神で前向きに取り組んでいます。
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入居時対応の工夫でクレームを未然に防ぐ
◆クレームは入居者からの行き場のない「S・O・S」
クレームをトラブルに発展させないできちんと対応をすれば、逆に感謝につながります。まずは慌てず、感情的にならず、5W1Hをきちんとヒアリングして記録を残す。対応する際は「大変ですね」など、相手にきちんと共感することも忘れずに。もたもたしていると2次クレームになるので、初期対応は迅速かつ的確に。当社では[CS報告書|http://minahare.jpm.jp/html/service/file/document/guidance_EXS_CS.xls]を「緊急クレーム」「修理依頼」「相談調整」の3種に分けて対応しています。
◆入居前の万全な準備で退去時のトラブル予防
まず、入居前のチェック。[入居前チェックシート|http://minahare.jpm.jp/html/service/file/document/claim_EXS_checksheet.xls,target=_blank]をもとに、入居者目線で万全にチェックを行い、きちんとその記録を残します。その後クレームが発生した場合、全員で対処方法や改善点を話し合うことでクレームは一割減りました。入居前の準備が万全でないと、退去時「最初から壊れていた」などの話になり、原状回復トラブルの原因になりがち。特に長期空室だった物件は要注意。入居者には、入居後10日以内に部屋においてあるチェックシートに「マニュアル読んだ」「部屋は傷なし」など本人が確認してサインし、返送してもらいます。これを出さないと退去時不利になる可能性があると説明すれば、返送漏れもありません。ちなみに、入居者用の確認シートは細かなチェックシ-トより、気になるところを図面に記入してもらうなどシンプルな方が粗探しにならないでいいようです。
◆契約時に丁寧な入居者指導実施
トラブルになりがちな案件の事前周知のため、入居前に入居者指導を徹底します。契約時、重要事項説明や契約とは別に、物件ごとの使用細則やトラブル対応を掲載した入居のしおりを丁寧に説明したうえで渡します。これには周辺施設の案内やゴミ出しルール、室内設備の使い方などを細かく紹介し、画鋲やフック、喫煙による壁紙の状況など使用方法の違いによるビフォーアフター写真も。言葉で説明するより写真を見せると一目瞭然、納得してもらえます。契約終了後、更に30分ほど時間がかかりますが、後々の敷金返還トラブルにもならず、知っておいてよかったと感謝されています。事故やトラブルが起きた場合、渡してあるマニュアル通りにお互い対応することができ、クレーム予防に役立っています。このおかげで、少額訴訟も滞納もゼロです。
我が社のクレーム防止策
- 共用部の蛍光灯が1つ切れたら全て交換しておく。人件費や手間賃を考えるとトータルコストが安くなる。水漏れなども同様で、クレームの先回り
- 24時間受付連絡先を明確にし、貸主、借主に告知/管理会社の建物・設備故障などの24時間受付を外部のコールセンターに委託
- 騒音クレームは実際に騒音計(1万円強で購入可能)で測り、客観的に数値化。環境省の騒音の基準に合わせ、クレーム申立者か騒音発生者、どちらに対応をするか決める
- 騒音クレームを測って騒音でない場合、うつ病など精神疾患、高齢者ならば幻聴を伴う認知症も疑う
- 貸主がインターネット上で修繕内容、金額などを閲覧できるようにしている
- 建物にかかる主要工事の金額(夜間の緊急対応等)を管理委任契約書に明記して貸主に説明
- 設備サポートのため、月々オーナーから保険料徴収。クレーム発生時は、オーナーにの判断を待つことなく保険料でエアコン購入などスピーディな対応ができるので入居者に喜ばれる。またオーナーにも急な大出費にならずありがたがられる制度
- エアコンはひとつ壊れて新規交換する時は、同時期に取り付けたエアコン全て同時に新規交換
- エアコンは同メーカー・同品番で揃え、部品やリモコンを自社ストック。メーカー対応を待たずに故障対応が可能に
クレームは「苦情」ではなく、お客様からの「サービスリクエスト(要求)」。すべての業務のなかでも最優先すべき、「カスタマーサービス」なので、入居者やオーナーからの「S・O・S」をきちんと受け止めたい。適切な対応をすることで、信頼関係を構築するチャンスにもなる。クレームはトラブルにならなければヒントの宝庫。いざクレームが発生した際、案件担当者を円滑にサポートできる社内体制を構築しておくことも重要だ。
- 事実確認をもとに速やかに初期対応
- 事実関係を漏れなく先入観なくヒアリングし、クレーム受付票に記入
- 相手が感情的になっている場合でも、焦らず落ち着いて、事実確認を
- 担当者不在等で、たらいまわしにせず、まずは受け止める(二次クレーム防止)
- 原因究明に時間がかかる場合もある。迅速な初期対応を優先(二次クレーム防止)
- 原因究明は先入観は持たず、事実を見て判断
- 入居者の安心・安全等を優先、夜間休日は外部のコールセンター活用など速やかに対応できる体制を整えておく
- 原因解明後、クレーム解決の必要な措置
- 人的クレームの場合、相手方に対し是正が必要な場合は申し入れや通知等の措置を講じる
- クレーム内容に応じて緊急連絡先がわかるように一覧表を作成しておく
- 建物や設備のクレームの場合、修理のための工事手配などを行う
- 費用が発生する場合、事前に家主に相談。少額の場合は管理会社判断で対応できるよう、あらかじめ管理受託契約書で取り決めしておくとスムーズ
- クレーム申立者(入居者)の名前や号室は公表しない
- 管理委託契約に定めがあり(記載があり)、賃貸借に定めのない(記載のない)金銭を賃借人から受領した場合、賃貸人へ報告する必要あり(賃貸住宅管理業者登録制度)
- トラブルは全て原因究明・解決まで行い、関係者に報告
- クレーム内容、工事の進捗状況、処理結果をオーナーや入居者(借主)など関係者に報告
クレームは記録して、予防や提案に生かす
- 事実関係は5W1H:いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)、を確実にW1H)を確認し、クレーム受付票に記録
- トラブルをきちんと解決し報告を行い、かかった費用と負担なども記録
- クレーム記録を分析。時期/建物/部屋/設備/入居者など予測可能なものは先手を打つ
※記録はデータベース化しておくと、進捗管理や分析にも使えて汎用性あり
- 対応する付帯設備や商品などがあればオーナー提案のチャンス