入居時対応の工夫でクレームを未然に防ぐ
第一ハウジング 加藤 豊 社長
◆クレームは入居者からの行き場のない「S・O・S」
クレームをトラブルに発展させないできちんと対応をすれば、逆に感謝につながります。まずは慌てず、感情的にならず、5W1Hをきちんとヒアリングして記録を残す。対応する際は「大変ですね」など、相手にきちんと共感することも忘れずに。もたもたしていると2次クレームになるので、初期対応は迅速かつ的確に。当社ではCS報告書を「緊急クレーム」「修理依頼」「相談調整」の3種に分けて対応しています。

◆入居前の万全な準備で退去時のトラブル予防
まず、入居前のチェック。入居前チェックシートをもとに、入居者目線で万全にチェックを行い、きちんとその記録を残します。その後クレームが発生した場合、全員で対処方法や改善点を話し合うことでクレームは一割減りました。入居前の準備が万全でないと、退去時「最初から壊れていた」などの話になり、原状回復トラブルの原因になりがち。特に長期空室だった物件は要注意。入居者には、入居後10日以内に部屋においてあるチェックシートに「マニュアル読んだ」「部屋は傷なし」など本人が確認してサインし、返送してもらいます。これを出さないと退去時不利になる可能性があると説明すれば、返送漏れもありません。ちなみに、入居者用の確認シートは細かなチェックシ-トより、気になるところを図面に記入してもらうなどシンプルな方が粗探しにならないでいいようです。

◆契約時に丁寧な入居者指導実施
トラブルになりがちな案件の事前周知のため、入居前に入居者指導を徹底します。契約時、重要事項説明や契約とは別に、物件ごとの使用細則やトラブル対応を掲載した入居のしおりを丁寧に説明したうえで渡します。これには周辺施設の案内やゴミ出しルール、室内設備の使い方などを細かく紹介し、画鋲やフック、喫煙による壁紙の状況など使用方法の違いによるビフォーアフター写真も。言葉で説明するより写真を見せると一目瞭然、納得してもらえます。契約終了後、更に30分ほど時間がかかりますが、後々の敷金返還トラブルにもならず、知っておいてよかったと感謝されています。事故やトラブルが起きた場合、渡してあるマニュアル通りにお互い対応することができ、クレーム予防に役立っています。このおかげで、少額訴訟も滞納もゼロです。